チューリヒ州の州都であり、スイスの空の玄関口。銀行や証券会社の集まる国際金融都市で、世界の金融市場において重要な役割を担うほか、歴史ある建物が残る風光明媚な観光の町としても名高い。その誕生はローマ時代にさかのぼり、紀元前15年に設けられた関所ツーリクムがその始まりといわれている。9世紀に修道院や城が築かれ、商工業が興ったのをきっかけに都市として発展、13世紀に典型的な中世都市としての形が整い、1351年にスイス連邦に加盟した。16世紀にスイスにおける宗教改革の拠点となったほか、18世紀には教育者ペスタロッチが宗教改革に乗り出し、20世紀初頭には前衛芸術運動の中心地となるなど、町には、古い歴史を持ちながら新しい発想を吸収していく柔軟さがあふれている。チューリヒ大学をはじめとする教育機関も多い。
国旗・国歌など: ---------------- *国旗: 赤地に白の十字を配したもので、その図柄はキリスト教の宗教的シンボ ルに由来している。1889年12月12日にスイス連邦の国旗として正式に制 定された。国際赤十字の旗の基となった。 *国章: 図柄は国旗と同じだが、形は正方形ではなく盾形をしている。 *国歌: スイスの讃美歌"Trittstim Morgenrot daher"で「神よ、あなたが朝や けの中から来られるとき」という意味。 国民性: -------- *スイス人はまじめで、勤勉、倹約家。 *独立心が高い、一方寛容で、時間厳守。 *家族のプライバシーを大切にする国民。 習慣・マナー: -------------- *他人を訪問する場合は私用、社用を問わず必ずアポイントを取り、時間 はきちんと守ること。突然の訪問は避ける。 *国民の大多数がキリスト教徒なので、日曜日は安息日とされており、一 般家庭でも戸外でする仕事、洗車、庭仕事、洗濯などはしない。 *急用の場合を除いて、夜遅く電話をかけたりしない。 *夜20:00以降は近所に迷惑になるような音を立てない。窓を開け放しで ピアノを弾いたり、音楽をボリューム大で聴いたり、パーティーなどを 開いて大きな音を立てたりすると近所の人からクレームがくる。 祝祭日(2022年): ---------------- 1/1 元日 1/2 ベルヒトルトの日 (多くの地域で休日になる) 4/15 聖金曜日(ティチィーノ、ヴァレー除く) 4/18 イースター マンデー(復活祭月曜日)(ヴァレー州を除く) 5/1 メーデー(バーゼル、ジュラ、シャッフハウゼン、チューリヒ州等) (多くの地域で休日になる) 5/26 キリスト昇天祭 6/5 ウィット サンデー(聖霊降臨祭) 6/6 ウィットマンデー(聖霊降臨祭)(ヴァレー州を除く) 6/16 聖体祭(コルプス・クリスティ) 8/1 建国記念日 11/1 万聖節 12/25 クリスマス 12/26 ボクシングデー 12/31 大晦日 ビジネスアワー: ---------------- *郵便局:月~金 8:00~12:00 14:00~17:00 土 8:30~11:00 休業日 日・祝 *デパート、ショッピングセンター等:月~土 9:00~18:30 休業日 日・祝 *一般商店:月~土 9:00~18:30、休業日 日・祝 週に1度21:00まで営業の店もある。 *銀行:月~金 8:30~16:30、休業日 土・日 ※店舗によって異なる。 チップ: -------- *チップの有無:有。 *ホテル:ポーター、ルームサービス、ベッドメイキング CHF2-3程度。 *レストラン:サービス料なしの場合料金の10%程度。 *タクシー:不要。 *その他:特になし。 注意すべき慣習: ---------------- *人前で声高々に話さない。 *列の割込みをしない。 *日曜日の午前中は騒がしくしないこと。ホテル内も、散歩する際も気を 付けること。 *スイス人の家に招待された場合には花やチョコレート辺りが無難である。 しかし花を持参する際には菊、白の百合、赤のバラは避ける。また、 当日もしくは後日に手書きでのお礼のカードをホストに送る。 *政治、宗教、人種などの話題は避ける。 日本との関係: -------------- *1864年に外交関係を結んで以来極めて良好である。経済、文化、人的面 での交流も親密である。 *在外公館日本から 大使館 1ヵ所(ベルン) 領事事務所 1ヵ所(ジュネーブ) 日本へ 大使館 1ヵ所(東京) 総領事館 1ヵ所(大阪) *日本の進出企業 183社 (2019) *在留邦人数(ジュネーブ) 3,751人 (2020) (国) 11,627人 (2020) *日本人学校(国) 全日制日本人校 1校(チューリヒ) (全校22名:2021) 日本語補習校 2校(チューリヒ、ジュネーブ) 政治: ------ *政治の形態は23の州(Canton)からなる連邦共和制で、うち3州はそれぞ れ2つの準州に分かれる。アメリカ合衆国に次いで古い連邦共和制国 家。各州は独自の憲法を持ち、それぞれの方法で選出された州政府と州 議会を有し、各州から選出される2名(準州は1名)が全州議会議員とし て連邦レベルでの代表を務める。大部分の州が間接民主制をとってお り、直接民主制をとっているのは2州のみである。 *1995年7月1日WTO加盟。 *連邦政府の国家元首は大統領であるが、任期1年の閣僚の輪番制で、総 選挙後の上下両院合同会議で選出された7人の連邦会議が副大統領とと もに互選する。上院に相当する全州会議(46議席)と下院に相当する国民 会議(200議席)からなり、国民議会は比例代表制の直接選挙で4年毎に 選ばれる。選挙権、被選挙権ともに18歳以上である。 *主な政党は4大政党の急進民主党(FDP/PRD)、社会民主党(SP/PS)、キリ スト教民主党(CVP/PDC)、国民党(SVP/UDC)と緑の党など。 *スイスは1815年のウィーン会議での承認以来、外交面では「永世中立 国」の立場をとってきた。しかし、ソビエト連邦の崩壊、EUの拡大とい う流れの中で中立の意味が改めて問い直された。2002年9月10日の国連 総会をもって国連に加盟することになったが、国連加盟後も中立政策は 維持している。 *政権は社会民主党(EU加盟推進派で労組に支持基盤)、急進民主党(自由 主義に立って連邦制を推進)、キリスト教民主党(カトリック系)、国民 党(中産階級政党でEU加盟反対)の有力4党が連立政権を組む。1999年10 月に行われた総選挙では国民党が躍進し、国民の難民問題に対する 不安、急接近するEUへの警戒心を反映する結果となった。 *永世中立国スイスは、国民皆兵制を基盤とした「武装中立主義」を敷い ている。20~50歳の男子は民兵として定期的に訓練を受け、自宅には銃 や弾薬を常備して有事に備える義務を負う。常備軍はなく、平時は 約3,600人の将校や下士官が訓練にあたる体制をとっているが、有事の ときは民間防衛隊と合わせると48時間以内に総勢88万人を動員できるよ うになっている。 *大統領は2013年1月よりウーリ・マウラー大統領兼国防・市民防衛・ スポーツ大臣(国民党)が就任した。(任期1年) *2001年6月の国民投票により、平和維持軍の武装がみとめられた。 *2003年10月に行われた上下両院の総選挙では右派の国民党が第一党に 躍進、同党はこの結果を受け閣僚ポストが2席となった。 *2006年9月、外国人法改正が国民投票によって承認され、EU/EFTA以外 の外国人の就労・滞在の規制強化が決定した。 *EU加盟に関しては申請を保留したままになっており、この先5年位は凍 結された状態が続く見通しとなった。 *2007年10月総選挙で右派のスイス国民党(SVP)が歴史的な勝利を収め た。人種差別的との批判も受けている同党は過去100年間で同国最高の 支持を集め62議席を獲得。 *原子力発電の新設は長く凍結されていたが、最近の電力不足により新設 が検討され論議を呼んでいる。 *リビアの最高指導者カダフィー大佐の息子とその妻が使用人への傷害罪 で逮捕された事件は外交問題に発展。リビアはスイス航空のリビア乗り 入れを禁止、スイス銀行に預けてあるすべての預金を解約するなどの報 復措置に出ている。 *2009年5月、生体認証パスポート導入を問う国民投票が行なわれ、賛成 が50.1%の小差で可決された。生体認証パスポートは2010年から導入。 2003年以降に発行されたパスポートはその有効期限まで使用が認められ る。 *2009年11月、金融監督局は2010年より新ボーナス制度を導入することを 通達。公的資金を受けた金融機関の高額ボーナスを規制する目的で強制 適用は12社。同12月、国民投票により「ミナレット(イスラム教寺院の 礼拝を告げる塔)建設禁止案」が可決された。しかし、もうひとつの 「スイスの武器輸出禁止案」は否決された。 *大統領は2013年1月よりウーリ・マウラー大統領兼国防・市民防衛・ スポーツ大臣(国民党)が就任した。(任期1年) *2014年1月にディディエ・ブルカルテール大統領が就任した。 *2015年1月にシモネッタ・ソマルガ大統領が就任した。 *2016年以降、2009年1月以降の5党(社会民主党、自民党がそれぞれ2閣僚、 国民党、キリスト教民主党、市民民主党がそれぞれ1閣僚)連立から、 伝統的4党の連立(社会民主党、自由民主党、国民党がそれぞれ2閣僚、 キリスト教民主党が1閣僚)に戻っている。 *2019年12月、新議会は環境系政党が勢力拡大も、連邦参事会(内閣)では 現職参事(閣僚)が再任。 *2020年1月、シモネッタ・ソマルーガ大統領が就任。 *2021年1月、ギィ・パルムラン大統領兼経済・教育・研究大臣が就任。 *2022年1月、イグナツィオ・カシス大統領兼外務大臣が就任。 産業・経済: ------------ *国内の産業位置づけ 世界有数の工業国で、精密工業、機械工業、化学工業、食品加工業、 刺繍などの手芸が盛ん。 *産業別労働者人口 --------------------------------------------------------- 農林水産業 194,000人 運輸・通信業 167,000人 --------------------------------------------------------- 製造業・鉱業 859,000人 商業 378,000人 --------------------------------------------------------- 建設業 341,000人 サービス業 951,000人 --------------------------------------------------------- 労働人口 5,100,000人(2021) 失業率 3.13%(2021) --------------------------------------------------------- *経済 ・スイスは永世中立による政情の安定を背景に、工業化を推進し輸出の 増進に努めてきた。豊かな外貨資産と観光資源、金融機関などの存在 により、スイス・フランはドル、ユーロに次ぐ重要な国際通貨となっ ている。1990年前半までは好景気基調を維持していたが、同年後半よ り世界的な経済低迷の流れを受け、1991年より3年連続でマイナス成 長が続いた。しかし、ヨーロッパ各国の景気が回復の動きを見せた 1994年にはGDP(国内総生産)成長率2.1%のプラス成長に転じ、消費者 物価上昇率も0.8%と安定した。だが、標準税率6.5%のEU型付加価値税 を導入した1995年には2.1%に再度上昇した。1990年までは1%を切る 状況が続いていた失業率も、1993年には4.5%、1994年には4.7%と急激 に上昇、1997年頃をピークに落ちつきを見せたが2004年、再び4%台 に上昇している。 1998年は実質成長率で2.1%となり、2000年は3.4%。2001年は世界経済 後退の影響をうけて0.9%に低下、2002年はドイツ向け輸出の落ち込 みなども加わり0.1%となった。2003年度はマイナス0.4%と更に悪化し たが、2004年度は景気回復に伴い2.1%を達成。2005年は0.9%、2006年 は輸出が順調で2.7%と過去6年間で最高を記録。2007年は2.0%、2008 年は1.9%。スイス最大の金融機関UBSは米国のサブプライムローン問 題により損失が拡大、公的資金の注入を受けることが決まったものの スイス・フランは急落しており2009年の成長率はマイナス1.9%となっ た。基幹産業である機械工業も不振で通常の76.4%まで稼働率が下がっ たが、2010年に入り回復基調に転じ2010年成長率は2.8%となり、2011 年も2年連続プラス成長の1.9%だが、スイス・フラン高の影響から成 長率が鈍った。2012年の財政収支決算については12.6億スイスフラン の黒字となり、貿易黒字は過去最高を記録した。 2015年に入ってからは、スイスフランのユーロ等に対する為替相場高 騰の影響もあり、成長率は鈍化していたが2016年からは穏やかに回復 している。貿易収支・経済収支とも安定的な黒字を維持。財政収支は ほぼ均衡し、堅実な財政を維持している。 2019年8月、第2四半期の輸出入、ともに6四半期で最高額。 更新日:XXXXX.XX.XX